アフリカの民族衣装展
アフリカの民族衣装展
今月のすぺーすくじら
「今月のすぺーすくじら」はメコン川流域の染織品をシリーズで訪ねます。第一回はラオスの女性用サロン「シン」に着目して企画しました。母なるメコンに育まれた精緻な織物の存在を知ったのは16年前のことでした。願えば叶うということでしょうか、この度良いご縁に恵まれ、幾多の戦禍から焼失をまぬがれた伝統染織を含むラオスの染織品を多数コレクションすることができました。なかでもシンには各民族特有の見どころがあり興味深く思っています。2020年7月25日よりネットギャラリーにて公開いたします
メコン流域を訪ねてⅠ ラオスの染織
GALLERY
シンと呼ばれる筒型のスカートは、ラオスの女性の伝統的な衣服でアイデンティテイを示す最も重要なものであった。シャーマニズムを信仰するラオ・タイの人々の間では特別な儀式を男性シャーマンが行う時には、男性がシンを身に着けることもあった。シンには色々な種類があり、宗教上の儀式、定例の祭り、結婚式、送別会、新築祝いなど日常生活の一貫としての正装用のシンがある。素材は地域のスタイルや目的、または気候などによって異なるが、コットン、シルクや両方を混ぜたものが使われ、モチーフは宗教的に意味のあるもの、過去から伝えられてきたそれぞれの民族性を表すもの、そして時代の流行等で変化しつつもバリエーション豊かに展開されている。
シンは伝統的には主に3つに分かれている。一番上の腰布の部分(フゥア・シン)が頭、真ん中の部分(プン・シン)がボディ、すそ部分(ティン・シン)が足とされていて、それぞれが別々に織られ大半は後で縫い合わされるが、ボディ部分とすそ部分が1枚の布として織られるものもある。(中略)
ボディ部分の布はシン全体の中心をなす部分で経浮織り・緯浮織り・絣織り・綴れ織り、杢糸(色の違う複数の糸を撚りあわせた糸)を使って織られたものなど、多様な織りのテクニックが用いられ、身につける場所や目的が特定される柄、民族の文化背景などが織り込まれた柄が表現されている。
将積厚子著「文化を語る布 ラオスのテキスタイル」より
シンの染織技法
フアパン県に生活する「タイ・ダム族(Tai Dam)」の木綿×絹・交織のスカート“シン・ソーン・マイ(sin sorng mai)”
フアパン県(Houaphan)に生活する「タイ・モイ族(Tai Moei)」の経紋織及び縫取織装飾のスカート“シン・ムック(sin muk)ボディ部分
フアパン県に生活する「タイ・ヌア族(Tai Nuea)※」の裾刺繍スカート”シン・ティーン・サオ(sin tiin saeo)
ラオス北部に生活する「タイ・ルー族(Tai Lue)」の手による、緯絣及び縫取織腰衣”シン・カーン(sin kaan)
フアパン県に生活する「タイ・デーン族(Tai Daeng)」の緯絣及び縫取織装飾の筒型腰衣“シン・ミー・ター(sin mii taa)
ラオス北部に生活する「タイ・ルー族(Tai Lue)」の手による、綴織(Yiep Pae)及び縫取織腰衣
ラオス北部に生活する「カム族(Khmu)」の経縞と経絣の腰衣、木綿、天然染料、大麻(裾布)20世紀中期の作品
フアパン県(Houaphan)に生活する「タイ・デーン族(Tai Daeng)」の経紋織及び縫取織装飾のスカート“シン・ムック(sin muk)裾部分
シエンクワーン県に生活する「タイ・プアン族(Tai Phuan)」シルク緯絣スカート“シン・ミー・ルアット
ピチット県(Phichit)に生活する「ラオ・クラン族(Lao Krang)」の緯絣&縫取織・筒型スカート“パー・シン(pha sin)
ラオス北東部のフアパン県に生活する「タイ・モイ族(Tai Moei)」の手による、縞&縫取織スカート“シン・ボーク(sin bork)
フアパン県“サムヌア(Xam Nuea)”に生活する「タイ・デーン族(Tai Daeng)」の経緯紋織&緯絣装飾のスカート“シン・ムック・コー・ミー(sin muk kor mii)
※「タイ・ヌア族(Tai Nuea)」はフアパン県に生活するタイ・ダム族、タイ・デーン族、タイ・カオ族等の総称
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