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 「今月のすぺーすくじら」は3月の「ティモール染織展」に続きインドネシアの染織品からスンバ島のものを展示しました。スンバ島の絣模様に出会いその魅力に引き込まれて十年の時が過ぎようとしています。この間良いご縁に恵まれ貴重な衣装をコレクションすることができました。今回の展示でも島内各地の伝統的な紋様に着目して紹介いたします。お楽しみいただければ幸いです。2020年4月28日よりネットギャラリーにて公開いたします。

スンバ島の染織模様

GALLERY 

 

 

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    インドネシアへの旅の始まりは友人に見せられたスンバ島のイカットの写真であった。いななきが聞こえてきそうな馬の群れ、餌をついばむ鶏とひよこ、大きく口を開けたワニ、頭蓋骨が並んだ異様な台が黒地に赤と藍の鮮烈な色彩で絵画的に描かれていた。日本の着物の繊細な絣と対照的に、牧歌的なスンバ島のイカットにくぎづけになった。どんな人たちが織っているのか見たいと思い、スンバ島行を決めた。(略) 初めて入ったムロロ村は一人のラジャ(首長、王)の支配領域で、ラジャの歓迎を受けた。日本軍医が村人の面倒を見たという過去の出来事があったからだ。イカットを織るところを見せてもらった。絣で模様を染めた輪状のたて糸を2本の棒で張り、一方の棒を高床式の家の梁に固定し、もう一方の棒を織り手の女性が腰に当てた棒につなげる。女性が体を前後に屈伸させながらたて糸の張りを調節して織っていく。初めて見る単純な構造の腰機に驚いた。ラジャの説明によれば、祖先は他の島から移動を重ね、この地に定住した。一族の団結は不可欠で、祖先への敬神、統率者ラジャへの尊敬、生きぬくために祖先が作り上げた習慣法を守ってきた。その思想を伝えていくためにシンボル化した模様を衣装に描いているという。イカットの模様は単なる装飾ではなく、世界観を写す鏡であることに気づかされた。他の民族はどうか?訪ねたいという思いに駆られ、島から島へ、村々を訪ねる旅が始まった。どこへ行っても人々は誇らしげに自家製のイカットを身につけていた。やはり祖先崇拝と守るべき習慣や世界観を描いていた。

渡辺万知子氏 東京家政大学博物館報 No.60より

​スンバ島の染織模様

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 脱皮を繰り返し成長する海老は子孫繁栄の祈りの表現です

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 馬は死者の魂を来世に運ぶ乗り物富と強さのシンボルとされています

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 カナタンのラジャの肩掛けに絣織で表された王冠を被った宗主国オランダの王と王女

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 カナタンラジャの頭巾中央の花に群れる蝶の模様(ハバック)は、妻にする女性を探し求める男性を象徴している

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 両手を挙げた赤子は強い戦士の誕生を祈願、レンデのラジャの肩掛け中央片面に表された手の込んだ織り模様

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 雄鶏は死者の魂の水先案内、埋葬時に愛馬と一羽の雄鶏を旅立たせる様子 

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 ラフバンギ(戦闘用襷)に絣で描かれたアンドゥン(首架台)は敵の頭蓋骨を並べ戦勝を祈願

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脱皮するヘビは子孫繁栄、サルは東インド会社の旗やラーマーヤナ物語の王子の援軍のサルの影響

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 オランダ東インド会社の交易品であるインドのパトラ模様の影響をうけたモチーフ   (patora ratu)

フローレス島の布 スンバの布展 (2).JPG

 支配階級の女性用のサロンに浮き紋織で表現された天馬・麒麟のような空想動物

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